この研究は、米国の土壌における基礎的な有機炭素分解速度が最大で10倍も異なる可能性を示しました。研究チームは国立生態観測ネットワーク(NEON)の20地点から土壌サンプルを採り、同一の実験室条件で18か月間インキュベートしました。実験中に二酸化炭素(CO2)排出量と26の土壌特性を測り、各試料の分解速度と炭素利用効率を推定しました。
機械学習の解析で、土壌タイプやpH、窒素といった予想される因子に加え、菌類の豊富さや特定の鉄・アルミニウムの形態が分解のばらつきと強く関連することが分かりました。これらの鉱物は、数十年から数世紀にわたり鉱物結合有機炭素を安定化させる働きがあります。
研究者はこれらの測定値と基礎速度の推定を組み合わせてAIモデルを構築し、156の土壌サンプルにわたる変動を再現しました。そのモデルを大陸規模に適用して一辺約2.5マイルの格子ごとに地図化すると、南西部では土壌炭素が比較的速く分解されCO2として放出される傾向があり、北西部と東部では分解が遅く微生物のバイオマスになる割合が高いこと、中西部は中間的な値になることが示されました。
アイオワ州立大学の准教授で責任著者のチャオチュン・ルーは、従来のモデルが類似した土壌で同じ基礎速度を仮定してきた点を指摘し、同一の土壌や生物群系内でも大きな変動があるためその仮定を見直すべきだと述べています。著者らは地球システムモデルが地球化学的・微生物学的な制御因子を過小評価してきたとし、これらの測定を取り入れれば気候への土壌炭素フィードバックの予測が精緻化され、地域差を考えた保全策や炭素市場の設計にも役立つ可能性があると結んでいます。
難しい単語
- 炭素利用効率 — 微生物が取り込んだ炭素を使う割合
- 機械学習 — データから規則を学ぶ計算手法
- 鉱物結合 — 鉱物と有機物が結び付く状態鉱物結合有機炭素
- 有機炭素 — 生物由来の炭素を含む物質有機炭素分解速度, 鉱物結合有機炭素
- 地球システムモデル — 気候や生態を統合する数値モデル
- バイオマス — 生物や微生物の有機物の量
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ディスカッション用の質問
- 土壌ごとの分解速度の違いを踏まえて、地域ごとの保全策や炭素対策で重要だと思う点は何ですか。理由も述べてください。
- 機械学習と現地測定を組み合わせる利点と限界は何だと思いますか。研究の文脈で答えてください。
- この研究結果が気候予測や炭素市場の設計にどのように影響すると考えますか。具体例を挙げて説明してください。