レベル B2 – 中上級CEFR B2
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コレラは致命的な細菌性疾患で、年間に多くの死者が出ています。病原体Vibrio choleraeは小腸の細胞に感染する際、鞭毛と呼ばれる回転する尾のような構造を使って移動し、標的の細胞に到達します。鞭毛を構成するタンパク質自体は何十年も知られていましたが、部品の組み合わせ方は長らく未解明でした。
イェール・スクール・オブ・メディシンの研究者らはNature Microbiologyに研究を発表しました。責任著者のJun Liuは、鞭毛の組み立てと回転を理解するには「準原子レベル(near-atomic resolution)」の解像度が必要だと述べています。第一著者のWangbiao Guoは、この構造を「70年の謎」と呼びました。
研究チームは生きたままの鞭毛を観察する新しい顕微鏡手法を開発し、鞭毛タンパク質を光るようにした変異株を用意して試料を液体エタンで急速凍結しました。高性能電子顕微鏡で得られた画像は、四つの鞭毛タンパク質が親水性の保護鞘の内部の特定位置にはまり込んでいることを示しました。
この鞘は従来の研究で構造が見えにくかった原因と考えられます。鞘は潤滑のように働き、鞭毛が外側の被覆から独立して回転することで液体中の推進力を高めたり、小腸の粘液層を突破する助けになる可能性があります。研究は鞭毛を標的にした新薬の開発など、コレラへの新たな攻め方につながる手がかりを提供したと結んでいます。研究は国立衛生研究所や科学財団、イェール大学などの支援を受けています。
難しい単語
- 鞭毛 — 細菌などの運動に使う尾状の構造
- 病原体 — 病気を引き起こす微生物やウイルス
- 準原子レベル — 原子に近い非常に高い解像度の水準
- 親水性 — 水と馴染みやすい化学的な性質
- 保護鞘 — 重要な部分を覆って守る層や膜
- 急速凍結 — 短時間で試料を非常に低温にすること
- 潤滑 — 摩擦を減らし滑りを良くする性質
- 標的 — 治療や研究で向けられる対象
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ディスカッション用の質問
- 鞭毛を標的にする薬はどのような利点と注意点があると思いますか。理由を述べてください。
- 研究で新しい顕微鏡手法と急速凍結が使われました。こうした技術革新が感染症研究に与える影響をどう考えますか。
- 保護鞘が鞭毛の回転に関係していると分かったことは、他の細菌研究にどう役立つでしょうか。具体例を挙げて説明してください。