ノルウェーの調査船Dr. Fridtjof Nansen(ナンセン号)は、スリランカ沿岸での2025年7月からの調査を取りやめました。運航はノルウェー海洋研究所が行い、国連食糧農業機関(FAO)のEAF-Nansen Programmeの委託で海洋資源の持続可能な管理を支える観測を行う予定でしたが、スリランカ側の許可手続きの遅れが原因で計画が崩れました。
背景には2023年12月に科された外国研究船への猶予措置があり、当時は技術的な一時停止と説明されましたが、観察者は地政学的な緊張やインドが一部研究船の二重用途性を懸念している点と関連づけて見ています。猶予措置は解除されたものの、SOP(標準作業手順)が確定しておらず、迅速な許可は出ませんでした。大統領の特別承認が遅れて届いたため、FAOはナンセン号をマダガスカルに振り分けました。
ナンセン号はこれまでにスリランカの排他的経済水域(200海里、370km)まで約517,000平方キロメートルを調査し、2018年のミッションには地元の科学者20人が参加し、査読付き論文が15本以上生まれました。収集されたデータは水温、塩分、酸素濃度、クロロフィル、プランクトン、深海生物、海底生息地などで、漁業資源の評価や海洋生産力、エコシステムの健全性の把握に使われています。2025年の調査には貨物船事故X-Press Pearlの水質影響調査も含まれていました。
研究者らは、中止によって魚類資源や季節的変動、変化する海洋条件の理解が遅れると警告しています。また遅れは乱獲、気候変動、汚染、海底資源を巡る国際競争への対応力を弱めるとも指摘されています。関係者は規則の明確化や地元科学者の完全参加、透明性、国立研究船を含む国内研究能力の整備を求めています。スリランカ外務省はコメントを出していません。
難しい単語
- 猶予措置 — ある措置の実施を一時的に延期する扱い
- 二重用途性 — 一つの物が二つの異なる目的に使える性質
- 排他的経済水域 — 沿岸国が資源管理権を持つ海域
- 標準作業手順 — 業務を実行するための決められた手続き
- 漁業資源 — 漁業で利用される魚や海産生物の資源
- 透明性 — 情報や手続きが外部に明らかにされる状態
- 国立研究船 — 国家が所有し研究目的で運用する船
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ディスカッション用の質問
- 許可手続きの遅れが続くと、スリランカや地域の海洋管理にどんな具体的な影響がありますか?理由を挙げて説明してください。
- 本文は地元科学者の完全参加や国内研究能力の整備を求めています。スリランカがこれらを進めるためにできる現実的な対策は何だと思いますか?
- 国際的な地政学的緊張が科学調査に与える影響について、この記事を基にあなたの意見を述べてください。