イェール大学の研究者らは、腸でのIgA産生に複数の経路があることを示しました。IgAは粘膜で病原体を中和し、腸の防御を助けます。Immunity誌に掲載された研究では、免疫刺激の後に二つの別個の経路が示されました。
通常、ナイーブB細胞(IgM)は胚中心に入りそこで成熟し、一度だけクラススイッチしてIgGやIgE、あるいはIgAになります。しかし研究では、免疫化後の最初の3週間に産生されたIgAの大部分は胚中心由来ではありませんでした。胚中心由来のIgAは3週目から6週目に検出されました。
系統解析では、IgAとIgGが共通の祖先を持つ例が多く、その祖先は予想されたIgMではなくIgG1でした。この結果は、IgMからIgGへ、さらにIgGからIgAへと順次スイッチが起きる可能性を示唆します。これらの経路の理解は粘膜ワクチン設計に影響するかもしれません。
難しい単語
- 胚中心 — リンパ組織でB細胞が成熟する場所胚中心に入り, 胚中心由来
- クラススイッチ — 抗体の種類を別の形に変える仕組みクラススイッチして
- 系統解析 — 細胞の祖先関係を調べる方法系統解析では
- 粘膜 — 体内の湿った表面の組織粘膜で, 粘膜ワクチン設計
- 免疫刺激 — 免疫系を活性化する出来事や信号免疫刺激の後に
- ナイーブB細胞 — まだ成熟していないBリンパ球ナイーブB細胞(IgM)
ヒント:記事中の強調表示された単語にマウスオーバー/フォーカス/タップすると、その場で簡単な意味が表示されます。
関連記事
ノバの直接画像が噴火の新しい姿を示す
天文学者は噴火後すぐの2つのノバを直接撮像し、複数の流出や放出の遅れを確認しました。観測はCHARA干渉計とFermiのガンマ線観測で行われました。
親の態度が大学生の過飲とギリシャ団体参加に影響
研究は、大学入学前と最初の年の親の寛容さが、学生の過飲(binge drinking)とフラタニティ・ソロリティへの加入に関係することを示しました。育児プログラムが有用だと結論づけています。
ソルビトールが肝臓で果糖に変わる可能性
研究者は、糖アルコールのソルビトールが腸から肝臓へ移り果糖に変わると報告した。ワシントン大学のチームの研究で、砂糖代替物の安全性に疑問が出ている。
ETH Zurich、直径約100ナノメートルのナノOLEDピクセルを作製
ETH Zurichの研究チームは、ヒトの細胞より約100倍小さいナノスケールのOLEDピクセルを作製しました。成果はNature Photonicsに掲載され、超高解像度ディスプレイなどへの応用が期待されています。
低価格のHIV予防薬lenacapavirの導入と利用の懸念
lenacapavirは年に2回の注射で、Gileadとインドのジェネリック企業の合意により120 low- and middle-income countriesで年額US$40で導入予定です。導入は2027年からで、除外国や資金、透明性に懸念があります。
金銭的な不安が就寝前の緊張と睡眠の低下に結びつく
9か月の調査で、金銭的な不安が就寝前の緊張行動を増やし、睡眠の質を下げることが示されました。研究は州兵の現役隊員を対象に自己報告と手首の測定を併用しました。